市街地から人がいなくなれば、まちでなくなる。郊外での住宅地開発は新たな社会資本投資を必要とし、既存の資本は遊休化する。それらの反省にたって、欧米諸国では都心に中低所得層の住宅をふやすことに市民・行政・企業が力を合わせてとりくんでいる。アメリカの企業による都心での低所得層むけ住宅の供給とコミュニティー再生への貢献もそうである。わたしがシカゴで会ったエジソン電力会社の地域振興部長は「市内に人が戻ってくると電力が売れ、会社が発展します」といっていたが、目先の利益を追うのでなく、まちがよくなることで利益をえるという発想は「企業デモクラシー」とでもいうべきであろうか。
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ヨーロッパでは、住宅以外の建物を住宅に改造・再生する事業が盛んである。たとえばフランスのHLMは先買い権を行使して古い建物を買い取り、再生している。セーヌ河沿いにうち捨てられていた大きな工場を買って110世帯の住宅に再生した。都心の古い倉庫を70戸のアパートにした。昔の洗濯工場を買いとって10家族の住宅に改造した。カソリックの修道院を集合住宅に再生させた。100年間人の住んでいなかった城を住宅にした。ペルノという酒の製造工場を39戸の住宅に改造した。こういう事例はロンドンでもローマでも中国でも見かけられた。ロンドンではいくつもの教会がアパートに変っているのに驚いた。教会の経営難もあるらしいが、そのような住宅のニーズがあるということは結局、「田園都市」「輝く都市」の反省にたっているのだと思う。郊外居住が望ましくないというのではむろんない。だが多くの国で、そして多くの人たちがまちの中のコミュニティーに住むことの価値を改めて認め、その実現にとりくんでいるのである。