読書は孤独できわめて個人的な営みのようにいわれてきた。確かに静かな場所で書物のページを繰るのは、その本の著者と一対一で対峙し、自分の知識と想像力だけを頼りに、今は既にこの世にいないかもしれない著者の思いを汲み取る作業という一面もあっただろう。しかし、晴耕雨読ができた時代ならいざ知らず、目まぐるしく世の中が変わり、情報が氾濫する現代においては、こういう読書スタイルはごく一部の人だけが享受できる贅作沢になりつつあるように思える。わざわざ本屋に足を運び、デジタルカタログと比べて割高な紙の本を買い、日々の雑用から解放され、読書三昧というのは忙しい現代人の憧れの姿になっていくだろう。だからこそ、紙の本がなくなることはないだろう。ただ、そこにデジタルカタログという、時代に即した新たなチョイスが加わるのだ。