終身雇用が崩壊し、年功賃金の体系も緩んだあと、少なからぬ企業で、それに代わる賃金体系として登場したのは、あるいは部分的に導入されたのは、「成果主義」あるいは「能力主義」と呼ばれる仕組みであった。年齢や勤続年数のいかんにかかわらず、大きな成果をあげた者には、高給を与えて昇進させるが、さしたる成果をあげられなかったなら、給与も地位も低いままにとどめる、という仕組みである。こうした成果主義と、それにもとづく年俸制の導入の実態については、私はなんら確たることは言えない。
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しかし、成果主義・能力主義こそが、企業経営を、そして経済全体を再活性化するためのオールマイティであるかのようにもてはやす一部の風潮には、多大の問題がはらまれている。このことは確かである。なるほど、各人が同じ条件で出店を出したときの1日の売上高とか、タクシーの1日の売上高などのように、比較的に単純な個人的活動であるならば。短期的な成果を客観的に比較することは可能であろう。しかし、ここでは詳論を省くけれども、そもそもさまざまな個人から成る複雑なチームが相当の時間をかけて活動しているとき、その活動の成果を個々人の貢献分へと分解することは、原理的に言ってきわめて困難な問題を抱えている。