戦後の一九五〇年代から一部の美容整形で行われた注入物質による豊胸術は、パラフィン、ワセリン、オルガノーゲン(炭化水素系の混合物と思われる)ブンリコンと変遷しながら、一九八〇年くらいまで一部では継続して行われていた形跡があります。その結果、ひどいしこりのみならず、乳房外への流動、拡散、全身への転移、皮膚の発赤、潰瘍、乳ガンの早期発見の阻害、ヒトーアジュバント病といわれる膠原病のような症状の発現など、かなり悲惨な病態を訴えてこられる方が引きも切りません。もちろん十分な検査の上、できる限り異物をお取りして、ご希望があれば、新たに何らかの乳房再形成術を行いますが、人知れず悩まれている方も多いようです。注入がシリコンバッグに替わっても、バッグが破れたり、袋が溶けたりすれば同じようになりますから、これからも気の毒な方は増える一方かもしれません。